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今回は心疾患と性差についてお話させていただきますね。

 

女性は閉経と共に女性ホルモンが急激に低下してしまいますよね。

一方男性は男性ホルモンの年齢による低下は穏やかになっています。

 
女性ホルモンは女性の生殖機能の充実と維持に大きく関わっていますが、それだけでなく、心筋肝臓血管皮膚などで細胞増殖の促進、あるいは抑制に関与し、タンパク合成促進を惹起します。

さらには脳機能、免疫系にも深く関与し、性腺以外でもほぼすべての身体臓器機能に関わっています。

 
閉経に伴う女性ホルモンの低下は更年期以降の高脂血症や糖尿病、更年期障害、認知症、骨粗鬆症など直接死には至らずともQOLを著しく低下させる疾病が圧倒的に女性に多くなる原因のひとつです。

 

その中でも今回は、日本の男女における死因の上位である心疾患の性差についてお話していきます。
心疾患の最も代表的な疾患である虚血性心疾患は、心筋の代謝に必要なだけの血液が供給されなくなったために生じる心筋疾患です。
虚血性心疾患にはいくつかの分類がありますが、ここでは主に心筋梗塞についてお話します。
健常人において、加齢とともに冠動脈(心臓の栄養血管)の血管は収縮しその程度も強くなってきます。
つまり狭窄しやすくなっていきます。

男性は加齢とともに血管の収縮状態を調節している機能(血管内皮機能)が低下していきますが、女性では50歳頃まではその機能は低下せず、その後加齢とともに直線的に低下します。

このことは、女性では閉経が血管内皮機能低下出現の分岐点であることを示しています。

 

一般に急性心筋梗塞の男女比は7:3または8:2程度となっており女性は男性に比べ、急性心筋梗塞の罹患は少なくなっています。
女性は閉経前に罹患することはまれですが、閉経後にその発症率は一気に増加する傾向があるため、男性に比較して女性の発症は5~10年遅くなります。

 
しかし女性の急性心筋梗塞は重症化しやすく予後も良くないとされており、過去の研究でも男性よりも女性の方が死亡率が高くなっています。
これは、男性に比較して発症年齢が高く、危険因子が多いことが女性の心筋梗塞の予後を悪くしていると考えられます。

 
自覚症状においても性差が認められ、男性では胸の痛み、とくに左胸あるいは胸中央の痛みとして自覚することが多いですが、女性では男性のような典型的な胸痛というよりも、むしろ歯やあご・のどの痛み、腹部症状(腹痛、吐き気、食欲不振など)、背部痛、肩の痛み、動悸などの非典型的な症状を訴えることが多いと言われています。
心筋梗塞は男性の病気という思い込みやほかの疾患と勘違いさせることが多いことも、女性患者の方が原因療法を行いにくく予後を悪くしてしまう原因のひとつです。

 
問診の際「胸が痛いですか?」といった風に“胸の痛み”を強調しすぎると正確な病歴を聴取することができないため、様々な視点からその方の状態や問題点を評価していくことが大切です。

 
長文を最後までお読みいただき、ありがとうございます。

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