井ノ原 裕紀子

プロフィール

家庭の事情で卒後臨床に出ること無く、十年余り実家の会社に勤め、2005年に乳癌術後ケア用品取扱業「Her’s」を創業。癌との関わりを持ったことでリンパ浮腫と出会い、その深刻さを憂慮してリンパ浮腫ケアに専従することを決意、2007年よりケア部門設立。現在はリンパ浮腫トータルケアサロンHer’sとして、リンパ浮腫に悩める多くの患者さまをサポートしながら、講演・執筆活動にも従事している。2014年度がんプロ(がんプロフェッショナル養成推進基盤)インテンシブコースのがんリハビリテーションを修了し、今後はリンパ浮腫に留まらずQOL尊重を重視した癌全般のリハビリテーションや「癌と性」についての取り組みにも積極的な活動を志している。

【所属】
リンパ浮腫トータルケアサロンHer’s 代表
Epoch アカデミック事業部 部長
【資格】
理学療法士
リンパ浮腫療法士

【所属学会】
日本リンパ学会/日本乳癌学会/日本婦人科腫瘍学会/日本緩和医療学会/日本思春期学会
【著書】
ウィメンズヘルスリハビリテーション (共著,編集者) メジカルビュー社 2014

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ウィメンズヘルスリハビリテーション (共著,編集者) メジカルビュー社 2014

講演内容

「誰もが癌になる時代〜リハ職にできる支えとは」

 2人に1人は癌を発症し、3人に1人は癌で亡くなると言われる時代になり、癌は身近と言って差し支えない病気となりました。それに伴い、癌治療は文字通り日進月歩の目覚ましい発展を遂げ、癌の種類によっては慢性疾患と捉えられるようにもなって、癌はもはや不治の病として悲観するものではなくなってきています。しかしながら、世間的にはまだまだ「癌=死」という悲壮感や恐怖感が拭われることはなく、早期発見・早期治療による生存率の向上が明らかであるにもかかわらず、発見を恐れて検診を避けたがり、その受診率は芳しいものではありません。また、発症した際には、自分が癌であることを前向きに受容することは非常に困難で、患者本人の精神的ダメージは計り知れないものがあり、それを支える家族の心身の負担もまた、見過ごせないものがあります。
 「癌とリハビリテーション」の関連は、まだまだイメージが湧きにくいかも知れませんが、リハビリテーションという言葉が本来意味する「社会的復権」という観点では、悲観的な先入観を植え付けられて社会的不利を被りがちな癌患者こそ、充実した社会生活を送るためのサポートを必要としています。それを支える我々医療従事者には、正しい知識と冷静な判断が求められ、かつ、患者さまやご家族を適切に啓蒙していく責任が課されていると考えます。
癌を理解し、共感できる素養を身に付け、身体的・機能的な問題だけではなく「人」としての支えとなり得る視点や考え方を持ったリハ職・医療職が増えていくことを願い、自身の臨床経験に基づいた切実なお話をさせていただきたいと思っています。

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